2d6:大正帝都シーン表 2:どこからともなく感じる視線。辺りを見回しても、そんな気配はない。気のせいだろうか。 3:賑やかな銀座。瀟洒な建物が立ち並ぶ煉瓦敷きの街路をぶらぶら歩く。 4:静かな夜のカフェの店内。女給との会話を楽しむもよし、音楽を聴きながら静かに酒を飲むのもよし。 5:瓦斯灯が夜の街を照らす。然しその光すら届かない闇は、帝都の至る所に存在する。 6:街で芝居のチラシを受け取る。帝国劇場か、それとも浅草オペラか。たまには芝居見学も悪くない。 7:路面電車の行き交う雑踏。騒音の絶えない大通りで、誰にも注目されないまま歩いていく。 8:昼日中から、大通りで男が戯言を叫んでいる。その戯言に一辺の真実が含まれていても、誰も気付かないだろう。 9:忙しく女給達が立ち働くミルクホールの店内。周囲からは楽しげな談笑の声が聞こえる。 10:凌雲閣——通称浅草十二階。震災で失われる前も後も、この凌雲閣を見に来る人は多い。 11:帝國図書館の書架の前で、目的の本を探す。この膨大な本の中に、求める知識はある筈だ。 12:夜風に乗って、どこからか磯の匂いが届いてくる。東京湾からの風だろうか。それとも……。